【都庁DXアワード2024】DXの取組事例 ~第5回~
東京都
都庁が進めるDXの目的、それは都民サービスの質を向上させることです。東京都では、それぞれの都政現場において創意工夫を凝らし、DXによる生産性の向上や都民サービスの改善に取り組んでいます。 こうしたDXへの挑戦を都庁全体で後押しする組織文化を醸成するために、優れた実践を共有し、横展開する場。それが「都庁DXアワード」です。 |
東京都デジタルサービス局では、都政現場で生まれたDXの取組が集結するイベント、「都庁DXアワード2024」を6月に開催しました!参加者には2分30秒の限られた時間で31件の素晴らしいプレゼンを実施していただきました。本サイトをご覧になられている皆様にも都のDXの取組を知っていただきたく、全5回にわたって記事を掲載します。
今回は最終の第5回目として、以下の7案件についてご紹介させていただきます!
ドローンを活用した汚泥焼却炉内点検のDX(下水道局)
【概要】
下水道局では下水をきれいにする水処理工程で発生した下水汚泥を、汚泥焼却炉で焼却し、容量を減量している。焼却炉内部の耐火材の劣化確認が安定的に焼却処理するための重要な点検・調査項目の一つである。従来の点検では、焼却灰の粉塵が飛散する焼却炉内部に粉塵防護服を着用した点検員が入り、目視確認しながら、手書きで炉内部の状態をスケッチし報告していた。そこで、ドローンを活用して人が立ち入ることなく焼却炉内の点検を行える技術を開発した。
【課題・解決への取組】
・点検箇所は粉塵が飛散する高温・多湿で高所作業を必要とする場所であり、作業員が長時間・直接入って、点検・調査する必要があり、作業環境が良くない。
・炉底部から焼却炉内高所の詳細な確認が難しく、足場を設置して点検する場合には停止期間が長期化する。
・目視による手書きの点検記録では、ある程度大きなひび割れや付着物を大まかな精度で記載するため、経年変化が捉えにくい。
【取組の成果】
・焼却炉の外からドローンを遠隔操作できるため、点検員は炉内へ入る必要がなくなり、安全な作業環境を実現できた。
・ドローンが焼却炉の高所や狭所を飛行し、機体カメラで撮影するため、手書きスケッチや足場が不要となり点検期間が短縮できた。
・撮影した写真から立体モデルを製図するため、小さなひび割れや付着物も色味を鮮明にデジタルデータとして保存でき、経年比較が可能となった。
【プレゼン資料】
※DXアワード当日は動画が埋め込まれた資料をもとにプレゼンが行われました。興味のある方は是非ともご覧ください(リンク)
【担当】
下水道局計画調整部技術開発課(S4000017@section.metro.tokyo.jp)
区市町村立学校で働く職員に迅速な情報共有を!(教育庁)
【概要】
区市町村立学校配置の行政系都費学校職員(約2,500人(事務1,800人、栄養士700人))の方々が、東京都教育委員会からのお知らせ(研修案内、昇任試験案内、都政に関する情報等)に直接かつリアルタイムにアクセスできるようにできるようにすることを目的にWeb掲示板(都Commu)を構築した。
【課題・解決への取組】
<課題>
正規の連絡ルートでは経由者が多く、情報を確実かつリアルタイムに職員本人に伝えることができないことがあり、情報格差やそれによる疎外感・不満等につながっていた。(正規の連絡ルート:東京都教育委員会⇒区市町村教育委員会⇒各学校長⇒職員本人)
<解決への取組>
・職員本人が直接アクセスできるWeb掲示板を構築するとともに、関係部署に協力を依頼し、職員にとって有益な情報を掲載する。
・区市町村立学校配置の行政系都費学校職員にユーザテスト等に参加してもらい、利用者ニーズに合った掲示板を目指す。
【取組の成果】
東京都教育委員会からのお知らせが、区市町村立学校配置の行政系都費学校職員本人に直接届けられるようになった。(都教委からの連絡が掲示板に掲載されるまでにかかる時間:約1時間)
<今後の展開>
・都Commuの認知度の向上(研修等の機会を活用し、職員本人にPRする等)。
・利用率の向上(アクセス数を増やす、新着記事掲載を知らせるメール通知機能の登録者数を増やす等)。
【プレゼン資料】
【担当】
教育庁総務部デジタル推進課(S0310107@section.metro.tokyo.jp)
職員給与等実態調査のDX(人事委員会事務局)
【概要】
東京都職員の任用及び給与データを関係各局等が登録、集計やエラーチェックを実施し、人事委員会勧告の基礎となる職員給与等の実態を把握するために行う「職員給与等実態調査」のためのシステムを再構築した。
【課題・解決への取組】
<課題>
現行システムでは人事委員会の担当者を介してデータのやり取りや連絡を実施していた。加えて会計年度任用職員などシステム処理できない職員が発生し、手作業で集計していた。
<解決への取組>
クラウドサービスを利用することで関係各局の担当者自身がTAIMS端末から作業でき、加えて全ての職員を集計処理できるシステムを構築した。
【取組の成果】
・双方向処理による作業工程の短縮を図り、処理の即時性が向上した。
・オンライン上で処理することで、メール誤送信によるデータの漏えいの発生を防止した。
・エラーチェック項目を充実させ、今までより短時間で正確にデータの確定ができるようになった。
<今後の展開>
他自治体が同様のシステム改修を検討するに当たり、本システムに関する情報提供を行う予定である。
【プレゼン資料】
【担当】
人事委員会事務局任用公平部任用給与課(S9000047@section.metro.tokyo.jp)
意見書自動作成ツールの改良(監査事務局)
【概要】
各会計歳入歳出決算審査における意見書作成において、デジタル技術活用監査の一環として、令和4年度は、職員の業務負担が大きい歳入歳出状況等の表を自動作成するツールを導入した。稼働2年目の令和5年度は、組織改編に対応するツールの改良を行った。
【課題・解決への取組】
<課題>
ツール導入前の意見書の作成作業では、職員が短期間で大量の数字を目視し、表に転記する必要があり、職員の業務負担や転記ミスのリスクが高かった。
<解決への取組>
令和4年度に導入したツールでは、組織改編などに対応できない場合があったことから、令和5年度においてツールの改良を行った。
【取組の成果】
組織改編などの課題について、迅速かつ柔軟に対応し解決することで、引き続き、職員の業務負担軽減に貢献することができた。
<今後の展開>
今回の経験を活かし、将来発生する様々なケースにも対応できるよう拡張性のあるツールとして活用することで、今後も業務負担軽減に貢献していきたい。
【プレゼン資料】
【担当】
監査事務局 デジタル技術活用監査PT(S9000052@section.metro.tokyo.jp)
デジタルツールを活用した収用委員会運営プロジェクト(収用委員会事務局)
【概要】
委員会において、従来プロジェクターにより投影していた説明資料を手元のタブレットに表示し見やすくするとともに、ファイルに編綴して机上に設置していた参考資料等については、PCを導入して電子データにアクセスできるよう工夫し、ペーパーレス、閲覧・検索性の向上及び業務の効率化を図った。
【課題・解決への取組】
<課題>
事件に関する図面や書類、関係法令の参考条文など、委員会の開催に必要な紙資料の準備に労力を要していたことに加え、委員が確認したい資料を探し出すのに手間がかかっていた。
<解決への取組>
委員への説明資料を、タブレット上のMicrosoft Teamsを用いて画面で共有することとし、同時に、その他参考資料はPCで検索・閲覧できるようにした。
【取組の成果】
資料の検索が簡単かつ細部まで見やすくなったことに加え、年間約6,000枚にも及ぶ紙資料を削減したことにより、プリントアウト、複数の資料の組み合わせ、資料ごとのゴム印押しなどの職員の作業が不要となり、業務を効率化することができた。
<今後の展開>
今後も引き続き、ユーザーである収用委員の意見を聞き、継続的に小さな改善を積み重ねていくことで、収用委員会の円滑な運営に資するようにしていきたい。
【プレゼン資料】
【担当】
収用委員会事務局事務改善分科会(SA0280000@section.metro.tokyo.jp)
デジタルで創れ、未来の東京消防庁(東京消防庁)
【概要】
昨今の労働力人口の減少により、採用試験受験者数は減少傾向にあり人材獲得競争は激化している。こうした状況に対応するために、試験の早期化・適性検査方式の導入など受験者層を拡げる新たな取組は必須であり、そのための採用業務DXプロジェクトを実施した。
【課題・解決への取組】
<課題>
・新たな取組を始めるにはマンパワーの限界があり、マンパワー以外の省力化方法の検討が必要であった。
・膨大な作業量を伴う「紙資料」を全て無くすことができるかが問題となった。
<解決への取組>
既存のデジタル資源を最大限活用し、面接等のペーパーレス化を実現する。昨年度試験から段階的に検証し、採用業務全体のデジタル化を実現する。
【取組の成果】
・年間で約47000枚のペーパーレス化により、大幅な省力化を達成した。
・新たな試験区分「適性検査方式」を導入した結果、受験者数が増加した。
・採用業務の省力化により最終合格日程の前倒しを実現した。
<今後の展開>
庁内デジタル環境の更なる整備により人事業務全体のDXを実現していく。
【プレゼン資料】
【担当】
東京消防庁人事部人事課(S6000007@section.metro.tokyo.jp)
消防署内のホワイトボードを一掃!デジタルで情報掲示を再定義(東京消防庁)
【概要】
消防署内に分散している災害状況や出勤状況などのデータを自動的に集約してデジタルディスプレイに表示するシステムを自主開発した。これにより、署内の情報掲示の利便性、視認性、柔軟性、拡張性の向上を図った。
【課題・解決への取組】
<課題>
消防署には、災害状況、各種予定表、署員の出勤状況など、さまざまな「ホワイトボード」が掲示され、それぞれデジタルデータがあるにもかかわらず、「決まった時間(しばしば深夜)」に「手」で「書き写す」ことが慣例化していた。
<解決への取組>
・各種データを「自動的に」集約・表示するためにPowerPointのVBAを活用した。
・署内各課のディスプレイにワイヤレスでマルチキャストできるよう機器を整備した。
【取組の成果】
・署内のホワイトボードが一掃され、深夜の手書き作業から解放された。
・見やすくカスタマイズされた情報をいつでも把握できるようになった。
・必要に応じて期間限定の情報などを容易に追加できるようになった。
<今後の展開>
署内の各業務をまたいだデータ利活用方法の標準化を目指す。
【プレゼン資料】
【担当】
東京消防庁西東京消防署(SB0848300@section.metro.tokyo.jp)
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