【都庁DXアワード2024】DXの取組事例 ~第3回~
東京都
都庁が進めるDXの目的、それは都民サービスの質を向上させることです。東京都では、それぞれの都政現場において創意工夫を凝らし、DXによる生産性の向上や都民サービスの改善に取り組んでいます。 こうしたDXへの挑戦を都庁全体で後押しする組織文化を醸成するために、優れた実践を共有し、横展開する場。それが「都庁DXアワード」です。 |
東京都デジタルサービス局では、都政現場で生まれたDXの取組が集結するイベント、「都庁DXアワード」を6月に開催しました!本サイトをご覧になられている皆様にも都のDXの取組を知っていただきたく、全5回(予定)にわたって記事を掲載します。
今回は第3回目として、以下の6案件についてご紹介させていただきます!
AIを活用した住家被害認定支援ツールの開発(総務局)
【概要】
いつ起こるとも知れない首都直下型地震等に備え、対象となる住家の外壁を撮影すると、AIが損傷箇所を検出・解析し、調査員がこの解析結果を被害認定の参考にすることで、判定のばらつきを抑えることを可能とする(令和6年3月開発)。
【課題・解決への取組】
発災時の罹災証明書の交付には住家被害認定調査が必要となるが、専門知識のない職員が大量に処理することから、調査結果のばらつきや調査業務の遅延が生じる可能性がある。最新技術を導入することで、調査の標準化・迅速化を図る。
【取組の成果】
・調査員の経験によらない統一的な判定
・住家被害認定調査に要する時間の短縮
【プレゼン資料】
【担当】
総務局総合防災部防災管理課(S0000040@section.metro.tokyo.jp)
kintoneを活用した緊急通行車両確認手続の迅速化(財務局)
【概要】
大規模災害発生時、災害応急対策等を円滑に進めるため緊急交通路が指定されたときは、緊急通行車両を優先して通行させることとされているが、都財務局では、知事が行う都関係車両(交通局、水道局、下水道局及び東京消防庁関係車両を除く。)の緊急通行車両確認と標章・証明書の交付を実施している。こうした事務を迅速化するためにkintoneアプリを活用した車両確認手続を導入した。
【課題・解決への取組】
令和5年9月の制度改正で、標章・証明書の事前交付が可能となったため、下記のような状況が予想された。
①都の協定事業者等から、膨大な量の事前確認申出が行われる。
②確認標章・証明書には、都と事業者の協定等の期間に応じた有効期限を設けることとされたため、標章・証明書の期限更新作業が将来継続的に発生する。
こうした状況に対処するため、デジタルツールを活用して事務の効率化を実現した。
【取組の成果】
職員自らがローコードツールkintoneを活用して業務アプリケーションを開発することで以下のような成果をあげることができた。
①令和5年5月の政令改正から9月の制度開始までの限られた時間内で業務のDX化を実現でき、利用ユーザからの改善意見に対しても、迅速かつ柔軟に対応できるようになった。
②各局による申出、財務局による各局申出内容の確認から様式作成までの一連の作業をkintone上で完結できるようになった。
③各局、財務局ともに、大量の申出を効率的に処理できるようになった。
【プレゼン資料】
【担当】
財務局経理部総務課(S0000054@section.metro.tokyo.jp)
建替え工事におけるモバイル端末を活用した遠隔臨場(住宅政策本部)
【概要】
コロナをきっかけとした社会のDX化や建設業界の人材不足が急速に進み、都営住宅の工事においてもDXによる業務効率化が必要となったため、モバイル端末を活用し遠隔で現場立会などを行う遠隔臨場を取り入れた。
【課題・解決への取組】
<課題>
遠隔臨場を都営住宅の建替え工事への導入にあたり、各工事項目が遠隔臨場に適用できるかが整理できていなかった。
<取組>
工事の中で定例会議、出来形確認、検査、試験動作確認などの工事項目や使用機器の選定について検証した。すべての工事項目において遠隔臨場への適用性を確認し、検証結果をもとに、住宅政策本部独自の「都営住宅建設事業の建設現場における遠隔臨場に関する実施要領(案)」および、遠隔臨場の実施により効果の見込める工種・確認項目を示す「適応性一覧」を作成した。
【取組の成果】
実施要領の策定による適用性の明確化、現場監督員の立会に伴う移動時間と交通費の削減、受注者の待ち時間や準備時間の削減、会議資料のペーパレス化を実現できた。
<今後の展開>
検査業務への応用やJKKへ水平展開を目指す。また、ASP(工事情報共有システム:工事書類の電子化)との併用によるさらなる効果の拡大を図る。
【プレゼン資料】
【担当】
住宅政策本部住宅企画部(SB1090100@section.metro.tokyo.jp)
ノーコード・ローコストで進めるDX(保健医療局)
【概要】
ノーコードツール(Appsheet)を用いた相談記録データベースを構築して、動物愛護相談センター多摩支所では、一般飼い主が飼育する動物に関する相談対応を実施した。
また、相談記録に関する入力から決裁、統計作成に至るまでの過程をデータベース上で一貫して行い、対応の迅速化、作業時間の短縮、ペーパーレス化等を実現した。
【課題・解決への取組】
<課題>
これまで多摩支所では、犬猫等に関する相談の記録、統計作成等を全て紙ベースで行ってきたため、過去の相談対応記録の検索や所内情報共有、統計作成、監視計画に時間がかかるなどの課題があった。
<取組>
こうした課題を解決するために、令和4年度、所が主体となってデジタルサービス局とともにアジャイル型開発を行い、新たな相談記録データベースを構築した。そして、令和5年度は無料で利用できる範囲(10ID)で試行運用を行い、写真のアップロード、対応状況によるマッピングの色分け等の改修・機能追加等を全て職員が実施しており、ランニングコスト以外は費用負担なく、ローコストでのDX化を実現している。
【取組の成果】
Appsheetを使ってデータベース化したことにより、以下の成果があった。
・所内情報共有、相談対応の迅速化を実現できた。
・相談発生地をGoogle map上で表示させることにより効率的な監視計画を実現した。
・スマートフォンを活用して作業の効率化を達成した。
・ペーパーレス化を実現した。
・統計作業の簡素化を図ることができた。
<今後の展開>
Google Formとの連携による機能拡張により、事故発生届出書等の都民からの一部届出をデジタル化する予定。
【プレゼン資料】
【担当】
保健医療局動物愛護相談センター多摩支所(S1150607@section.metro.tokyo.jp)
DX推進計画で福祉・保健医療分野のDXを加速(福祉局・保健医療局)
【概要】
・2023年4月に策定した、DXによって2030年に目指すべき到達点と、その実現に向けた取組の方向性を明らかにする「福祉・保健医療分野におけるDX加速化方針」を受け、2025年度までの具体的な取組を定めた。
・東京デジタル2030ビジョンやシン・トセイ4を踏まえ、両局事業のDXを加速化
・重点事業の設定や計画策定後の満足度調査の実施により、実効性のあるDXを推進
・両局職員が一丸となって推進。庁内や他自治体の取組の参考になるよう横展開
(事業局各部によるボトムアップ型DX推進:職員の改革マインドの向上)
【課題・解決への取組】
・様々な場所で推進されているDX。
しかし、自分たちの局のことであっても、①取組数、②活用しているテクノロジー、③効果や将来の計画、などを全て把握するのは非常に困難
・両局各部の全面協力のもと、所管している事業のDX取組を全て洗い出し、3か年の計画を設定
・重点事業はさらに「今までの姿」と「目指す姿」を整理し、取組の要点を明確化
・両局の取組を、①分野と②テクノロジーの2軸で構造化・見える化し、体系的に分類
【取組の成果】
・福祉・保健医療分野DX推進計画の策定
・計画をもとにして単なる事業のカタログではなく実効性のあるDXにするために
①局の垣根を越えた好事例の横展開
②時代に合わせた計画のバージョンアップ
③満足度調査で成長し続けるDXの実現
を大切にし、更なるDXを実現していく。
【プレゼン資料】
【担当】
福祉局企画部企画政策課(S1140201@section.metro.tokyo.jp)
保健医療局企画部企画政策課(S1150201@section.metro.tokyo.jp)
データを重ねて現場の変化を見つける、工事発注の効率化(建設局・総務局)
【概要】
青ヶ島の外輪山に沿った上手回りは、集落と港をつなぐ重要な生活道路であるが、平成19年に発生した大規模な斜面崩落により現在は通行止めとなっている。道路は急峻な地形に沿った曲線形状となっており、島民が道路を安全に利用できるよう、上手回りの一部である三宝港近傍において、平成28年度より道路改良事業を進めている。
令和4年度には、波浪の影響により道路を支える斜面が崩落し、事業への影響が懸念されたが、三次元点群データを有効に活用した対策を講じて現場の課題を解決した。
【課題・解決への取組】
<課題>
斜面崩落の更なる進展により道路の崩落も懸念されたことから、早期に対策工事を行うために、崩落後の状況調査と設計を短期間で実施する工夫が必要であった。
<取組>
当初設計で用いた三次元点群データに崩落後のデータを重ね合わせ、「差分解析」を行うことで、工事発注に必要な調査・設計の作業をデジタル技術で代替し、対策工事が必要な範囲を特定して発注図面を作成した。
【取組の成果】
「差分解析」で現場変化を的確に捉え、三次元点群データから出力した図面を元に発注図書を作成した。
デジタル技術を活用して再調査・設計期間を短縮し、早期に対策工事を実施して道路改良事業への影響を最小限にとどめることができた。
<今後の展開>
三次元点群データによる現場状況の把握は、今回の取組と同様に測量調査が困難な厳しい地形の現場や災害対応などでの効果が期待できるため、今後も活用を促進していく。
【プレゼン資料】
【担当】
建設局道路建設部(S0000412@section.metro.tokyo.jp)
総務局八丈支庁(S0000655@section.metro.tokyo.jp)
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